十月の現状例年になく暑さの残る10月の土曜日、すっかり暗くなった土手に花火を見ようとたくさんの人が集まっていた。気持ちのよい夜風が吹いて、となりにいる友人の髪が揺れていた。私はそれを撮りたくてシャッターを押したけれど、この日のフィルムは400だった。薄明かりに浮かぶその様を、今この瞬間が写真だな という気持ちで見ていた。暗い中、たくさんの人たちが無心に花火を見上げていた。これまで生きてきたたくさんの人たちも、同じような顔をして、瞳に灯りを映しながら花火を見つめていただろうか。
例年になく暑さの残る10月の土曜日、すっかり暗くなった土手に花火を見ようとたくさんの人が集まっていた。気持ちのよい夜風が吹いて、となりにいる友人の髪が揺れていた。私はそれを撮りたくてシャッターを押したけれど、この日のフィルムは400だった。薄明かりに浮かぶその様を、今この瞬間が写真だな という気持ちで見ていた。暗い中、たくさんの人たちが無心に花火を見上げていた。これまで生きてきたたくさんの人たちも、同じような顔をして、瞳に灯りを映しながら花火を見つめていただろうか。